『土を耕しながら元気で続けたい』
穴吹の山間部から、昭和46年頃に美馬市に家を建て引っ越してきて以来、夫婦で農産物を栽培しながら生活しています。もともとは美馬の森林組合に勤めていましたが、森林組合での仕事で「自然を守るということが余計に自然に手を加えること」になり、矛盾を感じることも多々ありました。また、林業も農業も外から来た人のみが優遇され、手厚い補助金が出ますが、元々住んでいる人には規制ばかりが立ちはだかっているように思います。
農産市では、当初は自分たちが食べているのと同じ虫食いの野菜を出して良いとのことで、手で虫を拾いながら出荷していましたが、最近は耕作放棄地が増加して、虫はそこで増えて越冬するので、手で拾う程度ではどうにもならなくなりました。
もともと山で育ち、親の農業を見よう見まねで継いできました。理論も技術も持っていたわけではないので、周囲の人の意見であれこれやってみましたが、なかなか思うようにはできず、失敗も繰り返しながらここまで来ました。
地球温暖化が要因なのか最近は、虫が多くなり、農作物も作りにくくなりました。これからは、閉鎖空間を作り、空調を行うような農業が主流になるかもしれませんが、やはりおいしい野菜は自然農法で土栽培した物にはかなわないような気がします。その土地にあった農作物を育てるのが一番。我々の代には耕作放棄地にならないよう、土を耕し元気で農業を続けたいと願っています。