『“土”本来の力を取り戻す』
20年程前、代々の家業である農業を継ぎました。9月10月は秋冬野菜の植え付けを行い出荷が途絶えますが、後は通年、さまざまなものを収穫しています。
ビニールハウスも多少ありますので、雨が降っても休みなし。毎日働いています。還暦も過ぎましたし、年々、農作業がこたえます。しかし、農業委員や土地改良区も引き受けていますので、周囲のみなさんから農地管理してほしいとの話が後を絶ちません。
農業のやり方で自然環境を救う一助になればとの願いはありますが、さてどれだけ役立っているのかと疑問に思うことも少なくありません。ふり返ってみると、子どもの頃にはフナやコイ、ドジョウやナマズなど豊かな生態系が周囲にありました。その当時、つまり私の父の時代ですが、強い農薬を使っていたと聞いたことがあります。ところが農薬の使用が厳しくなってから久しくなりますが、日本古来の生き物の姿は帰って来ず、外来生物に悩まされています。私見ではありますが、農薬の問題だけではなく、防災の観点からコンクリートを多用する治水整備の仕方も原因の一つではないでしょうか。
農業をしていると自然相手なのでコロナの影響はあまり感じませんが、温暖化で夏の暑さや激しい降雨には悩まされています。今までと同じように栽培していたのでは、全く収穫できなくなる恐れがあります。有機堆肥や栽培方法などで“土”本来の力を取り戻さなければ、農作物は育たなくなると実感しています。農家も学ばなければ、先には進めません。