『孫のためにも安全で新鮮なものを』
父の後を継いで35歳過ぎから農業に従事し、率先して生物多様性認証制度の資格を取得しました。それまでは、農薬も使っていましたが、自然と共存する農業が最後は大切なのじゃないかと思いました。娘に孫もでき、美味しく安全で新鮮なものを作りたいと強く思うようになりました。
認証を取るだけではなく、実際に栽培方法や意識を変えていかなければならないと思います。農家は土壌消毒に頼りますが、これでは害虫と共に益虫も殺してしまいます。そうではなく、有機の堆肥を使用し、時間を掛けて土壌改良を行えば、土に力が出て作物も変わり、周囲の自然も変わると信じています。
最近の異常気象は作物にも影響を及ぼしています。根がしっかり張ってない農作物が多くなったような気がします。化学肥料で余計な手間暇を掛けて土を弱らせ、無理やり作物を育てるのではなく、有機栽培で土本来の良さを引き出す努力が必要です。
出荷先は産直市がメインになり、農業が面白くなりました。例えば、共同出荷ではキュウリが曲がっていると加工品に回されますが、産直市だと自分で値段をつけて曲がったキュウリも出荷でき、どんどん売れます。質の良い物ならお客さんが分かってくれますので、努力のしがいがあります。さらに、一工夫して袋にシールや絵をつけることで、お客様が手に取ってくれます。それぞれが農産物に思いを込めて出荷することができます。
さらに、農薬は風があれば周囲に飛び散ったり、以前使用していた農薬がタンクに残って抜き打ち検査で有毒との判定が出ることもあるので、責任を持ってシールが貼れる作物を育てたいと決意しています。