『父の跡を継いで夫婦2人で農業の道に』
父が高齢で体力的にも農業をしていくことが厳しくなり、「もし農業を継いでくれるなら早めに戻ってきてほしい」と言われたんです。そのときは神戸に住んでいて私も妻も農業は全く未経験だったんですが、「それなら」と気持ちを固めて戻ったのが8年前になりますね。実際、農業をするにも全然知識がなかったので、まずは夫婦2人で石井の農大に2年間通うことにしました。農大で基本を学んでから、父に農薬などをできるだけ使わないキトサン溶液を使った農法を教えてもらおうと思っていた矢先に他界してしまって…。
まだまだ試行錯誤しながらの作業なので失敗することも多いですが、やっぱり考えながら栽培してうまくいったときはうれしいです。最初は栽培計画もうまく立てることができず、合間なく出荷物を作ることができなくて、出荷する農作物がなくなり困っていたところ、柿を出荷してなんとかつなぐことができたのも今ではいい思い出です。
これからは、インターネットなどで情報を集めて、トウモロコシとインゲン豆の混植といったコンパニオンプランツ栽培などで、できるだけ化学肥料の使用を抑えた農業にもチャレンジしたいと思っています。そして、珍しい品種の野菜も作ってみたいですが、食べ方が徳島では浸透していないので、それも含めての販売が課題でしょうか。県内では生物多様性活動認証の商品は反応も良く、認証品の販売コーナーを設けてくれている店も多いので、生産者と消費者の橋渡しにも一役買っていただいてると感じています。